今回は、株価が物語る評価についてお話したいと思います。
市場がつける取引価格は、その価格自体が示す’なにか’を暗に物語ることがあります。
インプライド(暗に示唆する)という言葉で重宝されています。
たとえば、現時点での価格に至る「価格の上下具合の変動」をみて変動率が計算できるので、市場が揺れ動いているか安定しているかがわかります。これは、恐怖指数としても知られています(VIX,ボラテリティインデックス).
また、REITの価格から最終利回りがわかるので、そこから投資家が要求する利回りがわかります
(インプライドキャップ)。
これ以外にも、株値からわかることもあります。
たとえば政局や世界情勢です。市場がどう読んでいたのか、ということです。
今回の都議会選で読んでみましょう。
株価は、先週も選挙後の月曜日も、ほとんど動きませんでしたね。
都民ファーストが大勝ちし一気に第1党に躍り出て、自民党が大負けした(ついでに言えば野党第1党も大負けした)結果に、市場は動じることなく、何事もなかったかのように平静な価格をつけました。
選挙の事前も事後もほぼ同じ価格で落ち着いていた事を考えると、市場はその結果に驚きはなく、さらにいえば先週から織り込んでいた、と言えるのです。
もちろん、事後的に言えるだけです。
さらに、日経新聞社が計算している恐怖指数 (日経VI)も、先週から今週は横ばいです。つまり、都議会選挙の前も、後も、変動率は同じです。
まったく選挙なんぞ存在していなかったかのようです。
これは、昨年7月10日の参議院選挙の結果と大違いです。昨年は、参院選の後ブレクジットなどなかったかのように一気に上がりつづけ、その後のトランプラリーと続きました。どちらも、市場が事前に読んで「いなかった」サプライズがもたらした価格上昇でした。
さて、おそらく、市場が示唆する(日本の)政局は、このようなものでしょう。
「国政は安定多数が望ましい。今はそうなっている。しかし、求心力が衰えてきて心配である。ところで都議会はボロボロに与党が負けた。別に驚きではない。事前に十分にわかっていた。
その都議会の結果がもたらすのは、国政の解散総選挙がしばらくはなくなったということだ(だって、今そんなことをやったら議席を減らすのだから)。」
そして、この先、
「ならば、それはそれで、安定状態が続くので良い事だ。
そうか、だったら、今経済はとてもよいので、もう少し上げにいくか」
になるのだと思います。
こうした観点から相場をみるのもおもしろいと思います。
では、また次回。