チャート分析による勝ちパターンの研究(1) (魔術師 奥村)

夏になると思い出すのですが、夏休みの自由研究というものがありますね。

数年前に、ある中手証券と一緒に、そんな類の研究をしたことがあります。

株価を何十年分も持っている証券会社と協力して株式売買AI化の研究をしたのです。

本格的なAIは開発に時間も金もかかるので、もっとも簡単に実現できるチャート分析を
適用しました。

チャート分析は仕組みも考え方も簡単、論理を数式で明確にできますから、PCがあれば
誰でも分析できますね。証券会社のオンラインサービスでもかならず用意されているはずです。

そこで、次のような内容を考えました。

1.典型的なテクニカルパターン40を記憶する。
これはその証券会社に所属するチャート分析のプロ(チャーチスト)と議論し、誰でもよく知るトレードパターンを40ほど選定しました。

たとえば、
A株が三尊のネックを切る場面でこれを弱気と判断し売りを出す
B株がトリプルボトムの次に上に行く局面では強気として買を出す
などです。

2. 最も取引が盛んな銘柄として、東証1部のTOP500の銘柄に絞りました。

つまり、東証1部のTOPIX500銘柄について、チャートを描くわけです。

3.1で設定した40のいずれかを見つけるようにプログラムする
上記1-3は、証券会社がオンラインで提供するスクリーニング機能でテクニカル指標をもとにスクリーニングすることと等価です。

4.40のパターンで、売買シグナルを設定し、見つけた銘柄に対し、あらかじめ決めたパターンの売買をおこなう。

5.この成果を損益として記録する。

 

6.(対照実験)
本来はA株に出た売買パターンを、任意に抽出したC株に対して同じ売買をする事を試しました。

TOPIX500銘柄から、4の売買銘柄数と同数になるようランダムに選択した任意の銘柄を、チャートパターンと同様のタイミングで売買するのです。

たとえば、A株に出たシグナルでA株を売る代わりに任意の適当な株C株を売る、
B株の代わりにD株を買う、という具合に売買し、その場合の損益を出す。

ということですね。

コンピュータでのシミュレーションなので、いくらでも繰り返すことができるし、年代を設定することで、何万回でもパターンを見つけて結果を出すことができるものでした。

勝率は、統計的に有意な水準までテスト数を増やしたのち、

①5と6を比較する。
②4の中で、40パターンの序列をつける。

この結果はきわめて興味深いものでした。

もったいぶるわけでもないのですが、長くなってしまうので続きはまた次回にします。

お楽しみに。