「年率4.0%成長」の国、ニッポン(スズカズ)

【2017年8月16日(水)日本:4-6月GDPは年率4.0%の成長】

北朝鮮リスクにかき消されてしまった感がありますが、今週の月曜日、朝一番に日本の4-6月のGDP統計が発表されました。

それが年率4.0%もの高成長です。市場の事前予想は2.5~2.6%でしたので、とても無視できるような数字ではありません。

内訳は次の通りです。

民間消費:3.7%
設備投資:9.9%
住宅投資:6.0%
公共投資:21.9%

公共投資の伸びが目立っていますが、消費も設備投資もかなり活発になっていることがわかります。

日本の潜在成長率は1%弱なので、4-6月のような高い成長率が長く続くことはありません。仮にそうなればかなりの確率で物価が上昇することになります。

慢性的、構造的な人手不足をなんとかしようと、企業サイドではロボットの導入を急いでいます。それが設備投資の活発化をもたらしていることは容易に想像がつきます。

しかし消費がここまで好調であるというのは予想外でした。少し意外な気もしますが、消費税引き上げから丸3年が経過し、足元ではじわじわと賃上げや好景気の恩恵が広がっていることが想像できます。

終わったばかりの決算発表を集計すると、上場企業1582社の4ー6月期の当期純利益は前年比+33%もの増益となりました。リーマン・ショック後では最高のレベルです。(日本経済新聞調べ)

企業サイドの動きは急です。8月15日付の日経新聞には、石油化学工業協会の会長で三井化学社長の淡輪敏(たんのわ・つとむ)氏の景況感に関する見解が載っていました。

そこで現在の化学業界は、「現在のエチレンの生産設備は日本全体で40カ月以上もフル生産が続いている。こんな状態はかつて経験がない。」ということでした。フル生産が長期化しています。

長らくローテクの代表格とされていた石油化学業界ですが、スマホをはじめ自動運転、人工知能、EV用電池、ビッグデータのための記憶素子、有機EL、4K・8Kテレビ、5Gなど、先端的なテクノロジーはすべて、石油化学製品に由来するハイテク素材がなければなにひとつ製品として実現することはありません。

将来の地球環境に対して多大な影響を及ぼす「自動車の燃費改善」と「そのための車体軽量化」にも化学製品による高機能樹脂が多用されることになります。

それらの需要が世界中から一斉に沸き上がっており、それによって現在の石油化学業界のフル生産が続いているわけです。株価も上場来高値を更新する銘柄が相次いでいるのが現状です。

米国の株式市場は空前の大相場を演じているわけですが、その一方ではバブルではないか、という議論も熱を帯びてきました。

バブルは破裂してみないとそれがバブルかどうかはわからないとされています。ただ、景気と株価の関係で見る限り、現在の株価上昇は意外と理性的にもたらされているということになりそうです。

北朝鮮の軍事的な挑発は確かにリスクとして無視できませんが、そればかりに気を取られることも正しい判断ではないように感じてしまいます。

以上(スズカズ)