三井ハイテック(6966)の採択したアクションがこれからのカギ(スズカズ)

【2017年9月9日(土)東京:値崩れを起こしているのは日経平均だけ】

鈴木一之です。

北朝鮮の建国記念日の話題で持ちきりです。

昨年もそうでしたので、今回も何か大きな「花火」を打ち上げることになるのかもしれません。金正恩委員長の考えることは誰にもわかりません。

世界中が「リスクオフ」モードで107円台の円高に突入しました。

日本の株式市場はてきめんに売られてしまいます。北朝鮮の狙いはそんなところにもあるのでしょうか。

ただしここでは冷静になることが必要です。極端に値下がりしているのは、たとえば日本では日経平均だけで、TOPIXをはじめ他の株価指数はさほど下がってはおりません。

とりわけ「日経500」はほとんど無傷のままで推移しています。

このほかにも、JPX日経400、小型株指数、日経JQ平均、東証の全単純、東証2部株指数、などがいずれも堅調です。

指数の構成要素やインデックスポリシーになにかしらの問題があるのでしょうか。

個々の銘柄でもそれは同じで、日経平均が週末に19,000円台前半まで下落した割に、驚くほどの急騰を遂げる銘柄が次々に現われています。

そしてその大半が電気自動車(EV)関連株、あるいはIoT関連銘柄、工場のデジタル化・自動車に貢献する銘柄、などで占められています。

具体的には、三井ハイテック(6966)の動きです。木曜日に株価はストップ高まで買われました。先行きも要注目です。

先週末、三井ハイテックは岐阜県に新工場を建設し、そこでエコカーの駆動系部品に欠かせない「モーターコア」を量産すると発表しました。

「モーターコア」はモーターの中心にある鉄芯の部分で、鋼板を重ねて造られます。三井ハイテックが世界のシェアの7割を持っており、金型から試作品、量産品まで一貫して生産できる点が最大の強みです。

三井ハイテックの発表によれば、新しく建てる工場は7万平方メートルで、そこに70億円を投資して来年9月に操業を開始します。

将来的は150億円の売上を目指すという計画です。最大のポイントは立地場所です。岐阜県はトヨタ自動車の本拠地・豊田市に1時間で行けるため、トヨタとの取引拡大を目指す会社側の意図がはっきりしています。

そのトヨタ自動車ですが、よく知られているようにトヨタはこれまで、エコカーの分野では「プリウス」、「アクア」などハイブリッド車を最重点としてきました。おのずとEVには距離を置いてきたわけです。

しかし世界のエコカーの趨勢は、EV重視の流れが決定的となりつつあります。トヨタがこの20年間、心血を注いできたハイブリッド車は、あれはあれで温暖化ガスを排出するため「エコカー」とは認められておりません。

そこでトヨタもいよいよEVの開発に着手して大きく舵を切りつつある模様です。

三井ハイテックの工場新設の事例にみられるように、EV進展に向けて日本中が一斉に走り始めた様子がうかがえます。

その辺りが個々の株価急騰につながっているはずです。日経平均の値動きはもちろん無視はできませんが、しかし本当のところでは、さほど気にしなくてもよいのではないでしょうか。

以上