インプライドボラテリティとは (魔術師 奥村)

先週からずっと、まだ出張中です。欧州の端、スペインのまた端であるジブラルタルは英国領なのですが、ここを渡るとアフリカです。青森から北海道に渡るような短い距離です。その渡った先はモロッコ。

物価は食事など全般でEU圏であるポルトガルあたりとそう変わらず、むしろ質がいまいちな分、割高に思えます。宗教(イスラム)の理由で豚肉はないし、レストランではお酒も出ない(ことが多い)のですこし寂しいものはあります。スペインと違って英語が通じないので、ガイドを雇う必要があります。

 

さて、先週の続きですが、先週はオッズの話ばかりで、あまり、impliedの話はできませんでした。

今週は、VIX指数の話を掘り下げます。

オプション商品は、リスクが大きいほど価値が上がり、プレミアムが大きくなります。そのプレミアムは価格として明確につくので、そのプレミアムからリスクを逆算するのが、インプライドボラテリティです。

ん、なんとなく、変ですね。

ボラテリティとインプライドボラテリティの違いはなんだろう?

 

まず、ボラテリティは、過去の原資産の価格を時系列に並べてのその変動率を数字にします。原資産は、SP500とか、日経平均の価格なので、過去につけた価格が示す、過去のボラテリティです。普通にヒストリカルボラテリティともいいますが、普通にボラテリティということの方が多いです。非常に測定しやすいので、ファイナンスの学問ではよく使われます。リスクと同義語になります。

それに対し、オプション商品を使ったインプライドボラテリティは、今の市場が考える(将来、オプションを行使するための商品である)オプションのプレミアムをもとに、そこからボラテリティを逆算しています。そのボラテリティを、インプライド ボラテリティと呼びます。

少しだけ掘り下げて説明します。

 

オプション価格(プレミアム)は、単純に書くとボラテリティσで決まります。

こんな計算式に従います。

 

オプションプレミアム = (原資産価格) * (+-[σ*(1/2)]*標準偏差内に集まる確率)
σはヒストリカルボラテリティを使います。

詳しく書くと、ブラックショールズの方程式になりますが、朝から眠くなるのでやめます。

σが大きいほど、プレミアムが大きくなることがわかるでしょう。

そう、一般に、σが大きくなると、オプション商品は儲かるチャンスが広がるので高いプレミアムがつきます。

今回は、プレミアムを求めるのではなく、数式を使い、市場がつけたプレミアムからσを逆算するのです。これが、インプライドボラテリティです。

 

ついた価格(プレミアム)から、市場が今後どういった変動を期待しているかを逆算しているわけです。

 

プレミアムが高いということは、市場が期待する(予期する)σも大きいということになるのです。

 

インプライドボラテリティは、言い換えると市場が期待する将来のリスクです。インプライドボラテリティが強まると、主に下方に下落する(暴落する)期待値が高まるものとされています。

市場は揺れていて=下落しやすい状況=恐怖度が高い、だから恐怖指数というわけです。

11月時点で、VIX指数はここ数年の最低レベルです。日米これだけ株式相場が上がっても、市場は
下がるリスクを感じていない、ということになります。

VIXだけで判断する限り、まだまだ下がる兆候がない、といえます。

ただし、市場が不感症になっていて恐怖を感じていないだけ,つまりVIX指数が役にたたなくなっている可能性もありますけれど。

 

また次回をお楽しみに