【2018年1月30日(火):早めに調整期に入れば、傷はかえって浅くなる】
鈴木一之です。本日の株式市場は大きく下落しました。一時▲400円近く下げており、年が改まってからの最大の下げ幅を記録しました。
2月に入ればすぐにイエレン議長の退任がやってきます。後任のパウエル新議長の手腕が早くも試されるとマーケットは警戒したのでしょうか。
NY市場では長期金利の上昇(債券価格の下落)が続いています。「適温相場」と呼ばれてきましたが、ついに金利上昇に株価が呼応し始めたのか、NY株式市場もわずかに軟化しました。
NY株がほんの少し下落しただけで、東京市場は不気味な足音におびえ、本日の大幅安につながりました。そもそもの市場環境として、
(1)トランプ政権2年目のドル安誘導政策への転換
(2)コインチェックを震源地とする仮想通貨市場への不安
(3)アップルの業績下方修正への懸念
の3点の懸念材料がくすぶっていました。そこに長期金利の上昇が思いのほか早めにやってきて、たまらず先回りして換金しておこうという意向が強まったと考えられます。
米国はもちろん、日本も株価がかなりの高値圏にあるため、それだけ売り圧力が強いものです。当面は短期調整はやむを得ないと考えられます。
日経平均の水準としては、東証1部の企業業績が今期12%増益を達成するとして、PERが16倍であれば、日経平均は22,000円が下値のメドと考えられます。
仮に円高がもう少し進んだ場合、企業が収益環境に再び慎重になるとすれば、増益率は10%まで下がると仮定して、PERが16倍ならば日経平均は21,500円となります。
現在が23,000円強なので、ここから▲1,000~1,500円ほど下値を、現時点ではひとまず想定しておくべきでしょう。
しかしあくまで積み上がったリスクを前倒しで処理しているのであって、本当の危険を回避しているとも考えられます。
今回の調整期間は1~2か月、値幅は日経平均で▲1,000~1,500円。現時点ではひとまずこのあたりを想定しておき、その間に何をいったん売り、何を下値で買うか、どのように対処してゆくかを考えるべきかと思います。
早めにガス抜きのような形で株価が下げている可能性があります。早めに調整入りして下落すれば、かえって傷は浅くなります。
ただしもうひとつ、現在の好景気が反転する可能性です。気になる動きは、やはり素材セクター。化学株を筆頭とした市況関連株の値動きです。
三菱ケミカルホールディングス(4188)、新日鉄住金(5401)、三井金属(5706)など、主力大型の素材セクターが年明けからじわじわ下値を切り下げています。その下落が今も止まりません。
この一群の銘柄が反転してくればよいのですが、反転せずに下落を続けるようだと、早晩マーケット全体が天井を打つことになりかねません。
景況感そのもの、好景気の持続力があらためて問われてくるようになります。
以上