【今日の下げはかつてなく厳しい】(スズカズ)

【2018年4月4日(水):今日の下げはかつてなく厳しい】

日経平均(水):21,319.55 (+27.26)
NYダウ(火):24,033.36(+389.17)

鈴木一之です。今日の株式市場はとにかく弱さが目立ちました。

水曜日の今日。値動きだけを取り上げれば、日経平均は上昇しています。3日ぶりの反発です。しかし本来であれば、値幅はもっと上昇していても不思議ではありませんし、何よりも上昇した、あるいは下落した銘柄の顔ぶれがかんばしくありません。

景気敏感株が再び大きく下落しました。今回は半導体セクターも歯止めにはなっておりません。反対に半導体セクターが全体の下げをリードしているような具合です。厳しい状況に傾きかけています。

NY市場がますます不安定な動きになりつつあります。テクノロジーセクターの殿堂であるNASDAQの戻りがNYダウに追いついていません。フェイスブックに対する世間の怒りは収まる気配が見えない状況です。

米国政界は明らかに中間選挙モードへとどっぷり入っているせいか、2016年大統領選挙の二の舞を防ごうとして、フェイクニュースを連発したフェイスブックに対する警戒ムードが薄れる気配が見えません。

トランプ大統領のアマゾンに対する矛先は徐々に収まっているようですが、顧客データ流出事件が政権サイドに攻撃の口実を与えてしまいました。

半導体に関しては、伏兵はまったく予想外のところから現れました。東海カーボン(5301)、日本カーボン(5302)、昭和電工(4004)の株価急落です。

きっかけは、野村証券が昭和電工の投資判断と目標株価を引き下げたことです。主力製品である黒鉛電極が需給ひっ迫により、単価が前年比3倍以上に高騰することで、今期の業績がいずれも大幅増となることが2月の決算発表で明らかになりました。

その前後から株価は急騰を続けていましたが、本日は昭和電工の急落が引き金となって、3社とも株価は大幅安となりました。

黒鉛電極は電炉メーカーが使用するとともに、半導体シリコンウエハの製造工程でも使われます。同時に黒鉛電極の原料である「ニードルコークス」はリチウムイオン電池の原料でもあります。

中国の電炉業界と半導体業界からの需要が旺盛で、供給が追いつかないとの見通しから、今年度の黒鉛電極の価格は前年度比3倍に値上がりして、そのまま高止まりを続ける、との見通しがほんの1か月前まで支配的でした。

それが1か月が経過して、市場の見方が様変わりしている模様です。鉄鋼とアルミを巡る米中貿易戦争はヒートアップするばかりで、そのあおりを食った可能性も考えられます。
しかし素材セクターの株価下落は、もはやいつまでも支えきれない状況になっていたということでしょう。貿易戦争が事態の進展を速めた部分はありますが、早晩このような状況が訪れたのではないかと思います。

本日は鉄鋼、非鉄株はまだ平静を保っていますが、化学および半導体セクターの一角はかなり値下がりが目立ちます。

それと同時にロボット関連銘柄の下げが顕著となりつつあります。本日はキーエンス(6861)がきっかけを提供したようですが、つれてファナック(6954)、ダイフク(6383)、安川電機(6506)の下落ピッチが速まっています。

景気敏感株が再び下落を開始しているように感じられ、しかも具合の悪いことに、今回はその下げをリードしているのが半導体セクターだという点です。任天堂(7974)まで売られています。

半導体が崩れたら全体相場がどこまでそれを吸収できるのか、私には現時点では判断がつきません。

さらに現在の物色動向の特徴として、内需系のディフェンシブ株が本日も一斉に上値追いを強めています。外食、流通、食品、戸建て住宅、人材派遣、通信キャリア、などなど。エレクトロニクスの弱さに対して、今回は自動車株が意外にも強さを見せているのも特徴のひとつです。

新年度早々、当面は荒れ模様の相場展開が続くと覚悟しておくべきでしょう。PKO的な動きはそういつまでも続きません。

以上