シリア問題の背景と相場観点 (魔術師 奥村)

おはようございます。

今週からトルコに来ています。

トルコは、先週末に大きくニュースされた、シリア問題の隣国ということになります。

このシリア爆撃の前に、4月に入って世界で大きく取り上げられたニュースがあります。トルコ、ロシア、イランの3か国間でのシリアの将来へ向けた会議が開催されたのです。

私の知る限り日本でほとんど報道されていません。

4月4日にアンカラ(トルコの首都)で、シリアの新憲法の起草をはじめとする、今後のシリア統治に関する調整が始まったのです。

これは、第二次世界大戦終盤におけるヤルタ会談と似ています。ヤルタ会談は、戦後のドイツや日本の領土分割や統治に関して、米英ソの3か国の利害関係を事前に調整した会議でした。

このような重要な調整がアンカラでスタートしたのですが、その会議は欧米抜きで進められたものであったため、余計に世界的には大きなニュースとして伝わったものです。

そのような会議を、欧米を抜きに行う(=シリア問題を欧米抜きで勝手に決める)事は許さない、という意思表示も今回のシリア攻撃の意図にあったと考えることができるでしょう。

ロシアとイランは共同で今回の英仏米の攻撃を非難しましたが、アンカラ会議のメンバーだったわけですね。

ところで、昨年4月のシリア攻撃は米国単独行動でしたが、今回は英仏も参加しました。

仏は、シリアを植民地支配していた事があり、昔から深い関係があります。

英は、自国で起きたロシアスパイの暗殺未遂事件の件でロシアと対立している最中で、いち早く英を指示した米仏との共同歩調を見せたかった理由があります。

こんな背景があって、今回の事件があったのだろう、といろいろな世界ニュースから読み取ることができます。

BBCのニュースによると、このたび使われたミサイルは、旧型のトマホークだけではなく、レーダーの探知を逃れるステルス型の最新ミサイルも使われたようです。現地で飛んだ爆撃機は、どうやらおとりであって、ミサイルは基地から直接発射されたようです。
この規模の攻撃の機会は貴重なので、いろいろな実地テストを兼ねているということなのでしょう、周到な計画があったこともわかりますね。

いずれにしても、この事件を受けた週明けの日本の株式相場は、結局何もなかったかのような平和なスタートでした。

へたすると大きく相場を動かすような、つまり猛烈な円高と株安があったかもしれない、重要なイベントを終え、一段落した感があるのは間違いありません。

相場にとっては、良いことだったと思います。

Okumura