連休明け第1週は予想をはるかに超える上昇(スズカズ)

 

鈴木一之です。GW明け最初の週は望外の上昇を記録しました。

大型連休とは関係ない海外市場も総じてしっかりしています。中核となるNYダウ工業株は週をまたいで7連騰を達成しております。

5月相場は、トランプ大統領がイランとの核合意をどのように処理するのか大きなカギとなっていましたが、合意破棄を決定したにもかかわらず、マーケットはほとんど反応しませんでした。

いえ、反応していないというのは言い過ぎです。実際に原油価格はWTI先物で70ドルを突破しています。しかしその原油価格の上昇が、米国の物価上昇にはつながっておりません。

雇用統計でも賃金の上昇は安定しており、物価も落ち着いています。米10年国債金利は3%手前で均衡を保っています。不安視されていた米国の長期国債入札も、需要は旺盛で順調に消化されました。

こうなると、このあとに予定されている最大のヤマ場、米朝首脳会談も双方にとってうまく運ぶのではないかという、淡い期待が寄せられます。ここで調子に乗って変に期待し過ぎない方がよいのかもしれませんが、いずれにしろトランプ大統領は選挙時の公約を着実に現実のものとしています。

日本のマーケットに関しては、3月決算企業の決算発表がほぼヤマを越えた形となりました。証券会社のアナリストによる事前の企業取材に関するルールが強化されて以来、決算予想が伝わりにくくなって、それが決算前後の株価に対してかなり大きなインパクトを与えるようになりました。

今週も決算発表後にストップ高、ストップ安まで急変動する銘柄が相次ぎ、ルール変更の影響に振り回されてきましたが、それに対してもマーケットは徐々に慣れてきたように感じられます。

今週のマーケットの話題は、水曜日に実施されたトヨタ自動車(7203)の決算発表でした。ザラ場中にトヨタが決算発表と説明会を実施するという変更に対して、株価はどのように反応するのか、おおいに興味がかき立てられました。

結果はご存知のように、水曜日の13時25分、2期ぶりの最高益更新のニュースに株価は+3%も上昇しました。時価総額が20兆円を超えるトヨタがここまで動くのですから、それ以外の銘柄に対するインパクトは容易に想像がつきます。

「決算プレイ恐るべし」ということになりますが、投資家も徐々にこのような変動性に慣れてきて、上手に利用すれば現在のマーケットをごく短期でかけ回ることができそうです。毎月のように決算期を迎える企業は出現しますので、それに備えることが肝要です。

今回の決算の特徴は、同じセクターの中でも決算内容に対する市場の評価がかなり分かれた、という色合いが強いように思います。

一例を挙げれば、三菱商事(8058)と伊藤忠(8001)、日立(6501)と三菱電機(6503)、スズキ(7269)とスバル(7270)、アステラス製薬(4503)と大日本住友製薬(4506)、オークマ(6103)と東芝機械(6104)、千代田化工建設(6366)と日揮(1963)、アサヒ(2502)とサッポロ(2501)、です。

同一セクター内の銘柄はかなり似たような株価の動きをたどる、という経験則が通じにくくなっています。マーケットは確実に業績相場に移行しており、個々の企業の経営に対する評価がより強まっています。

セクターとしての動きの特徴としては、(1)堀場製作所(6856)、THK(6481)、三菱ガス化学(4182)、日産化学(4021)、トクヤマ(4043)など半導体関連株の復調が始まりつつある、(2)その延長として化学、鉄鋼、機械という景気敏感株が底入れ反転しつつある、というところです。

半導体関連株を中心に、TDK(6762)、太陽誘電(6976)など電子部品や自動車部品株にも物色の輪が広がっており、こうなると日経平均もしばらくは上昇しやすい気運に包まれます。

同じことの繰り返しになりますが、ハマキョウレックス(9037)、鴻池運輸(9025)、福山通運(9075)、トナミHD(9070)などの陸運株も堅調であって、内需・外需ともに中核となるバイプレーヤーが実にしっかりしています。

「5月は売り逃げろ」と言われるその5月相場をあなどるわけにはいきませんが、恐る恐るとマーケットの先行きに明るさを感じ始める、五月晴れの今日この頃です。

以上