株式相場復活の兆し、サイン間近 (魔術師 奥村)

今週、日米とも日経平均は大きく下げ、いままでこつこつ上げてきた勢いを失ったかに見えます。
下げた理由は、米中貿易戦争の不透明感が強くなった事とニュースされています。

今回は、この点に関して、エコノミスト的な観点から発言してみようと思います。

G20が終わりました。これと直接は関係ありませんが、米中首脳が食事をしながら会談しました。

会談の内容は「米国が来年早々に実施する可能性があった、中国からの2000億ドル分の輸入に対して関税を引き上げることを、90日猶予する」という成果だけです。何かが具体的に解決したわけでもありません。

しかし、大統領が、そもそも会談をキャンセルする可能性を示唆していたので(実際、米ロ首脳会談はキャンセルされています)、実現できただけでも、まずまず、です。ましてや良い結論がでてよかった、という市場の期待反応が、でていたわけです。

事前情報では、貿易赤字の解消に関しては、中国はすんなり米国に対して大きな譲歩をすると予想されていましたが、その通りになりました。

米国では、タイミングを同じくしてFRB議長が、金融引き締めをそろそろ考える発言があったこともあり、既に米国市場はその期待から先週大きく上昇をしていました。

偶然だとは思いますがFRBと同じ頃に、中国では人民銀行が金融引き締めをやめ、緩和に向かう政策に大転換する方針を打ち出しています。

こうしたいろいろな要素が株式市場にはポジティブにつたわり、投資心理面での改善は大きなものになった、と言えるでしょう。

米国ではクリスマス消費が、中国では旧正月消費が、控えていますから、これは景気には大きな後押しであり、時期もよかったのです。

トランプ大統領の任期はあと2年です。消耗戦覚悟で全力で戦っても、それまでにすべてを解消できるとは思えません。

そもそも2年ももたないかもしれません。
中国から大きな譲歩を引き出した功績を実際の成果として形にしないと、今までの米国の景気の独り勝ち状況はあっと言う間に坂を転げる可能性もあるからです。金持ち喧嘩せず。ただただ、喧嘩するフリだけ。

そう考えると、3か月後に出すであろう結果には期待が持てると読んでいます。

さて、日本市場も調子が出てきたように思います。

新天皇の即位のお祝いムードは、改元需要を伴うでしょう。

さらに、東京オリンピックに続き大阪万博という一大イベントが続くことも決定しました。
これは、北京オリンピックから上海万博に続いた中国のイメージとダブります。

なんといっても、企業業績は昨年度の戦後最高を更新する事は決定的で、来年度もポジティブなのです。

日本は業績よし、センチメントよし、相場の見通しよし、になりつつあります。

それにして、日経平均のPERはまだ12.28倍(12月5日終了時点).

日経平均は、絶望的な心理であった2011年大震災時でもPERが13倍ありました。民主党政権末期の2011年秋でも今のPERより良かったことを考えると、まだまだ、上昇する余地は大きいと考えています。

では、また次回.