米国金利とドル円を観察するとわかる事実(魔術師 奥村)

今回は少し硬い(いつもか?)話題です。

今週は、10日と11日、パウエルFRB議長の議会証言があります。
(10日下院金融サービス委員会、,11日 上院銀行委員会).

既に、金融政策報告書は先週(5日)に公開されているので、議会証言はこの内容を超えるものではないはずです。

結局、議会で、「金利を下げるのか?」という質問があったとして、

「常に適当と考える行動をとる」、と答えて終わりでしょう。

とすると、おそらく

(特に米株式)市場が勝手に利下げを期待して上がってきた経緯がありますが、その期待は、崩れる事になります。

さて、米国金利が変わると、例えばいままでのように金利が下落してゆくと、米金利に魅力がなくなるので、資金は債券から米株式に移ってゆきます。

また、米金利に魅力がなくなるので、米ドルには魅力がなくなり、他国に移ってゆきます。特に円は、退避先として格好の場所です。

つまり、ドル円レートが変化するのですね。

まずは、ドル円レートの、今年の推移を、米金利と合わせてみてみましょう。

 

 

 

 

 

4月以降は結構密接に関係している感じがあります。

そこで、4月以降をいくつかに分割して、関係をみてゆきます。

 

<4月1日-5月20日>

 

 

 

 

 

この期間は、米金利が低下する程、円高になってゆくことがよくわかります。

図中に数式を入れていますが、ドル円レートをY,米金利をX%とすると、

Y=12.4X +80という関係になっていました。

 

<5月21-6月22日>

 

 

 

 

 

 

この期間も、米金利が低下する程、円高になっています。しかし、傾きが少しゆるやかになっています。つまり、4-5月のように、急な円高にはなっていない事がわかりますね。

Y=6.32X+95と、傾きも半減しました。

 

<6月22日以降>

 

 

 

 

 

この期間は、米金利が変化しても、あまりドル円レートとは、関係なくなってきているようにみえます。関係が残っているにしても、傾きはいっそう緩やかになっていますね。

Y=3.29X + 101.29 となっていて、かなり平坦な傾きですね。

101.29というy切片は、米金利が仮に0になったとしたら、ドル円レートは101.29円になるという簡単な推計であり、

このデータだけで見る限りは、101.29円を超える円高になることはあるまい、とも言えます。

この状態が、いまの状況です。

以上のことから、今後米金利は低下するとしても、ドル円は、なかなかこれ以上円高にはなりづらい。仮に円高になるにしても、今までのように金利に反応して一気に円高になるのではなく、僅かな程度になるであろう、ということがわかりますね。

さらに分析をいろいろ深める事もできますが,今回はこれまで。

では、また次回をお楽しみに。