市場の歪を目で見る (魔術師 奥村)

市場は、常に売りと買いの取引によって価格が付きます。
言い換えるならば、売りと買いという2つの立場の合意点で、価格が決まるということになります。

中学生の時に、需要供給曲線を学んだかと思いますが、需要=買い方、供給=売り方です.
これを相場のことばで表すと、こうなります。

 

 

 

 

 

買い方は、できるだけ安く買いたい。だから、安くなればなるほど、買いたい量が増える。

売り方は、でえきるだけ高く売りたい。だから、高くなればなるほど、売りたい量が増える。

株式市場やFX市場では、買いたい側が買い気配値を提示し、売りたい側が売り気配値を提示し、価格の打診を相互にしながら、均衡した価格(P) をつけた時、はじめて取引値としてのPで取引されます。

市場を通して、はじめて価格がわかるので、市場は価格の発見機能がある、とされています。

ところが、実際の市場は、時間という要素でも動くので、瞬間、瞬間の売り方と買い方の動きがちぐはぐになる事は、頻繁におきます。

たとえば、価格がズンズン下がっていく時に、本来は売り手は売り控えるはずなのに、価格が下がれば下がるほど、売る量が増えるというケースです。

市場が暴落する時のろうばい売り、が代表的なケース、といえばわかりやすいでしょうか。

暴落時は、価格がさがっても、買い手が買い控える事が多いので、どんどん価格は下げ続けることになりますね。

こうした暴落の時間帯は、需要と供給の関係が崩れ、通常の市場の経験則やルールは通用しません。

実は、こうした、市場のルールが成立していない暴落の時間帯は、通常の市場の中でも、(瞬間的ではあるけれど)発生しています。

私は、市場の歪、と呼んでいますが、歪は、小さいけれど、頻繁に発生しているのです。

最もわかりやすいのは、FX市場です。

まず、ドル円の取引は、通常、日本と米国の金利差で説明できます。

米国金利が上昇すると、米国は有利な金利になるのでドルを米国で運用したくなりますね。
ですので、ドルが買われて強くなります。

米国金利が下落すると、米国は不利な金利になるので、ドルを米国で運用したくなくなりますね。ですので、ドルが売られて弱くなります。

(日本の金利はゼロのままなので、現在は無視できます).

金利は、国債の取引で決定されますので、常に取引されている米国債市場をみて、米国の金利を計算すると、その金利の動向は、そのままドル円のレートに反映されるはずなのです。

つまり、

米金利が上がると、ドルが買われ、円が売られる.

米金利が下がると、ドルが売られ、円が買われる.

という関係があります。

これが常に成り立っているかと言うと、そうでもありません。

この関係が成り立っていない時は、市場では歪が発生しています。

「FX市場に歪が発生していない」時に取引した方が、市場のルールが成立しているので、テクニカルにせよ、ファンダメンタルにせよ、勝機が増え、勝率が上がります。

この歪の発生を定期的に調べてみると、このような発生頻度になっていることがわかりました。
12月16日(月) 朝700-1129分までを15分単位で調査した結果を、図示します。

 

 

 

 

 

赤いx で示したのが、歪んでいる時間帯です。

案外、歪が発生する頻度が多いことがわかりました。

このxがついている時間帯にトレードを行うと、特にテクニカル分析(チャート分析)でトレードを行う場合に歪でやられて勝率が下がる事がわかっています。

この検証は、FX市場で行っていますが、株式市場と取引でも一定の影響が及んでいて、やはり、歪の理由で一定の法則をもとに行うトレードでは影響を受けやすいように思います。

この歪は、xのついている時間帯は、「今すべきではない」という事だけを教えてくれるのですが、こういった見方や考え方も、あって良いかなと思います。