市場のセンチメント (魔術師 奥村)

センチメント(sentiment)という言葉は、金融市場を説明する時に良く使われます。

市場心理などと訳されますが、市場そのものが揺れ動く心理をもっている生き物ではないので、結局、参加者たちの総合的な売買の状況を説明する言葉になっていると解釈して良いでしょう。

市場参加者とは、売り、買いの注文を出すすべての人であり、機関投資家もいるし個人トレーダーもいる。投資信託もいるし証券会社もいる。ヘッジファンドもいますね。

市場心理の実態は、その日その日に市場に参加する全てを包括する、巨大な組織体の中にあるといってよいでしょう。

その市場心理は、なにも参加者が新聞記者とかTV番組でインタビューされたり取材されるわけでもなく、参加者がオーダーを通してのみ意思表示します。

売か買かのオーダーによって、市場全体の値動きがプラスになるかマイナスになるか決定しますし、そのオーダーがいつ出たかという時間軸での流れによっても、値動きがかわります。

その、事後的にわかった値動きや売買高を総評して、本日の心理なるものが、なんとなくわかってきます。

株式市場では、最近は、値動きが大きいのですが、その最大の要素はニューヨーク市場にあります。センチメントは米国も不安定で、損が膨らんでポジションを整理する投資家も多いし、VIXなどのリスク指標をもとに保有資産を増減させるファンドの存在感が増しており、短期的な振れはかなり大きくなっています.

米国が落ち着けば日本も落ち着くのだと思いますが、先月からの急落分を取り戻すには至っていません。

まだ落ち着いていないとも言えますし、落ち着いたのだとしたら、下げた時の理由が解消したのに元に戻っていない、という状況であるともいえます。

このセンチメントというのは、気ままに動く小悪魔のようなもので、読むことは難しいですね。

そのセンチメントですが昨日までの状況と、本日の変化の2つの要素に分けると考えやすいと思います。

そして、データが示す相場の本来の位置から今後の動きを見極める、3つ目の要素と合わせることで、相場を読むということになります。

その時、市場の特性、特徴も理解していると、読む精度が上がってゆきます。

では、特性とは何か、ですが、それはまた近いうちに述べてみたいと思います。

次回をお楽しみに。