相場を読む(1) (魔術師 奥村)

相場を読む、というには、多かれ少なかれ、投資家には必要なことだと思います。

自分で(あるいは信頼のおける筋が)将来上がるという予想がない限り、相場に買い向かうのは無謀ですからね。

しかし、問題はその方法です。

相場を単一手法で読もうとすると、
なかなか上手くいかないことに気が付きます。

これが相場が難しいと言われる理由の
ひとつといってよいでしょう。

しかし、いくつかの手法を
合わせ技で使うと
読みの精度をぐっとあげられるのです。

ここでは、具体例として
僕の手法を少し掘り下げてみていきます。

まず、その合わせ技として
どの手法を組み合わせるか、
ということになりますね。

相場の読みとして
出てくる結果は、自然と
この手法とその組み合わせに
左右されます。

つまり、それぞれの手法を
どう合わせるかを考えた段階で、
すでに相場の読みを
行っていることになるのです。

たとえば、テクニカル重視の人は(一例ですが)移動平均を基本にして
一目均衡表やRSIを組み合わせる、などとなるでしょう。

僕が相場全体を読む場合は、EPSとPERの2つの値を検証するところからスタートします。

株価は利益(EPS)とバリエーション(PER)だけで決まるという
基本があるからです。

非常にシンプルですが、僕はいつもこの方法を使っています。

ですので、基本の読みはあっという間に終わります。

まずEPSは、
アナリスト予想値を使います。

Factsetやロイターで簡単に取得できますが、
いわゆる情報ベンダーとの
有料契約が必要になります。

今のところ、
オンライン証券のサービスでは取得できないようです。
つまり、個人では難しい。

そこで、個人でEPSを調べる場合、
日経新聞社の予想値が手ごろだと思います。

( EPSは、情報源によって意味合いが変わります。
また、相場のEPSをどのように算出するのか、
などといった知識を用いると、さらに予想精度を上げることができますが、
ここではバッサリ割愛します)

次にPERですが、株価をEPSで割って自分で求めます。

このPERこそ、
割高、割安の目安を示す
最も重要なシグナルです。

その推移をチャートにすることで、
テクニカル分析とは
全く異なる景色が見えてきます。

このように、
僕が相場全体を読むときには、
現在の情勢に合わせて
妥当なPERやEPSの水準を算出します。

EPS x PER=株価 ですから、
妥当なEPSと妥当なPERを考えることは
株価(今の場合は相場全体)の行く先を
読むことにつながるのです。

そして、その範囲を
相場の読みとします。

そうすると、
トレンドも、レンジも
同時に見えてきますし、

米国や欧州の状況も
同様に読むことができます。

つまり、世界の状況も
説明できるようになるので、
いわゆる、グローバルマクロの
見晴らしもよくなります。

そして、こうした情報もまた、
補足情報として合わせ技に
加えていくのです。

ときどき、それを上手に補足できる
チャート分析を合わせ技に
加えることもあります。

以上は、相場全体、
つまりTOPIXや日経平均のことです。

いかがでしたでしょうか。

そんな事は知っている、
とっくにやっているという方には
釈迦に説法ですね。

多くの機関投資家も、
こうした基本に沿って
投資判断の基準としているはずなので、
今回はあらためて整理してご紹介しました。