エジプトでは、最近、フォロワーが5000人以上になるとメディアと位置付けられ、監視や規制の対象になるという法律が施行されました。
これは主にテロ対策という名目のようです。
監視や規制も、ある意味では利用なのですが、活用という言い方にあらためると、私達であれば、このような興味はあると思います。
「株価の予想をする、という古くて新しい問題の解決に、ソーシャルメディアが中心としたビッグデータが活用できないか」
ここ10年ほど、いくつかの企業と共同研究をしてきました(今もしています)。
現代社会では、インターネット上で、一般人がブログやツィッターでつぶやく。あるいは、SNSや掲示板で意見を交換するのは、今や普通に生活の一部に溶け込んでいます。
企業のイメージや、製品の評価サイトもありますので、その製品がイケているかどうか、いろいろな観点で情報を得る事もできるようになっていますね。
こうした新しい形態のコミュニケーション体系の中では、本質的に対等、双方向であるネット社会の中で共感や評判を通して、アクセス数とかいいね数を得るとヒットする人が出てきます。
その中から、カリスマといわれるリーダーも数多く生まれ、直接的に参加者に対して影響を与える事も多いでしょう。
こうしたネットでの評判は、企業価値に影響をどれだけ与えているのでしょう。
これが解明できると、ネットの評判を調べる事で株価の動きがわかるのではないか、と考えるわけです。
この問題を掘り下げるためには、本当に多くのアプローチがありますが、私なりに現時点で分かったことは、このような事です。
(1)ポジティブな情報は、商品力や、新商品販売を知るうえで役にたつ。
(2)ネガティブな情報は、企業価値に影響を与えるかもしれないというシグナルを出すうえで役にたつ
(3)トラヒックが起こらないという情報も、何かしらの役にたつ
なんだか、ボーッとした言い回しになっていますが、さらに明確に数値化してお伝えすることは難しく、これからのテーマでもあります。
いくつかの研究事例は既にあります。特に最初の(1)のようなテーマでは、数多くの論文が発表されています(参考文献)。
新商品の評判やウワサ、あるいは先行購入者の紹介などの記事をもとにその商品の販売を予想する、という試みです。
前評判の高い商品は、かならずネットでも注目されるので、その状況を数値化することで、販売を予想してみるわけですね。
しかしながら、残念な事に予想精度は高くありません。
ましてや、それを利用して企業価値が上がるか下がるか、という判断は、できません。
とはいえ、何らかの企業価値予想があり、それを補完する、いいかえると微調整をもたらす要素としては、案外向いている事もわかってきました。
その情報は、トレードに役立つような形に仕上げられるかもしれないな、と最近考え始めています。
(参考文献)
IBM システムがSNSデータから取り込んだデータを分析し自動車の販売予測をする
(Ahn,H./ W.S.Spangler [2014] ‘sales Predicton with Social Media Analysis’ (SRII Conference)
4つのメディア(Twitter,Yahoo映画,Youtube,Blog)を比較し、映画の興行収入を予想するChronological Analysis on the Electric Word-of-Mouth Effect of Four Social Mediaa on Movie Sales'(PACIS 2014)
など多数