長期投資における常識とわな(魔術師 奥村)

今回は、長期投資の際の常識とわなを取り上げます。

前回、金融ジェロントロジーの続きでもあります。

前回は簡単に言うと、生活するためには支出の源となる収入が必要だ、収入の不足分は資産を取り崩して補うしかない、ということでした。

世の中の生活コンサルタントは、必ずこういいます。

「収入が少ないのだから、それに見合った倹約、節約をして支出を減らしてください。

「少しの贅沢でも我慢することです。食事を削る。趣味を削る、孫には合わない。持ちたいものを持たない。」

「それは収入の中で暮らす以上、当然の事です。」

一見、もっともです。

これが、若い世代であれば今後の所得を増やす可能性もあるでしょう。

あるいは、目標を明確に持ち、それを達成するための一過性のものであれば、誰であれ、我慢なんぞ大したことではないでしょう。

しかし、老齢者に関していうと、人生の目標を設定し、それにむかって努力する構図はあてはまりません。

無理と言っているわけではありません。

『最後に息を引き取るまで、夕暮れは暗闇にはなりません』と明言を残したカーネルサンダース(65歳でケンタッキーフライドチキンを創業し70歳の時成功)の例だってあります。

どんどんやるべきですが、実のところ、まれなケースには違いありません。

生活コンサルタントの指導に従うと、

楽しみを削り(あるいは止め)、美味しいものを食べず我慢し、やりたい事をやれない。

これは、倹約をし、節約しつくして、ただ、ただ、死ぬまで生きる。

そう言っているようにも聞こえるのです。

そうならないための手はいくつもあります。

まずは仕事を継続することでしょう。これは誰にでもできないし、個人の生き方の問題なので、割愛します。

しかし誰でもできることも多いのです。

資産を取り崩すだけではなく、増やし続ける事です。

2000万円の退職金を年間4%で運用すると、一年80万円のリターンが生まれます。この80万円を1か月あたりに換算すると、月6万6千円です。これを月の生活に補うと、取り崩し額が月10万円だった人は月3万4千円で済みます。

運用しないで取り崩すだけだったお金は16年で枯渇しますが、4%で運用するだけで、枯渇まで28年もちます。
多くの人は死ぬまで、枯渇しないで済むのです。

ちなみに、3000万円の退職金をもらえる人は、4%の運用をするだけで、年間120万円のリターンがあります。税金を考慮しなければ、元本を1円たりとも取り崩すことなく、死ぬまで生きる事ができるのです。

ここで、4%で運用する、と書きましたが、この4%という数字は、長期投資における金融学としては、世界的に基準になる数字です。この割合を超えて取り崩す時、お金は目に見えて枯渇を始めるのです。

次に、リバースモーゲージです。

自宅を信託銀行に売却しそれを賃貸する形式ですが、死ぬまで借りて住み続けることができます。実質土地の価値だけの売却になりますが、死んだ後に不動産を子孫に残すつもりのない人には便利な商品です。

ほかにもいろいろ策略があります。

このブログを書く際に、いくつかの策略を練るためにデータを調べてみましたが、驚くべき事実もありました。

若い人にも大いに関係のある話です。

これはまたの機会にします。

つづく