年末の株価を予想する (魔術師 奥村)

今回は、年末までの株式相場を具体的に予想してみましょう。
そのための準備として、まず今年度のドル円レートの推移を、日米の金利を使って説明してみようと思います。日本の金利はほぼ0なので、米国の金利だけをとっています。9月をなるべく合致させるようにスケールを合わせました。
        図1 米金利と為替(各種資料よりTrioAM作成)
9月の1か月の動きはきれいに為替と金利が比例していますね。
このチャートからも読み取ると、米金利が0.1%変化すると、1.4円程円安になります。
小学校で習う、いわゆる比例定数ですね。
実際、9月に0.2%利上げが決定されましたが、市場金利は確かに0.2%上昇し、ドル円市場は,110.96円から113.66円(+2.7円)に上昇しました。0.1%あたり1.4円の円安になるので、0.2%では、その倍、 1.4 x 2= 2.8円の円安になる数式にほぼあっています。
 年末までのFOMCとよばれる米当局の会議で決める金利上げ幅は0.25%になる確率が高い、とします(実際、米国の先物オプション市場では、それを暗示する値決めになっています).
もし、0.25%上がると、ドル円は、 1.4 x 2.5 = 3.5円ほど、円安方向に向かいます。
今のままの金利と為替の関係が保たれている場合、現在113.5円とすると、年末に117円になるということです。
さて、その時に、日系平均はいくらになるでしょう。
日経平均と為替の関係をチャートに示します。
                                     図2 日経平均と為替(各種資料よりTrioAM作成)
この関係も、きれいに比例していますね。
そうです、この9月以降、為替と株と米金利は、きれいに一致して上がっているのです。
やはり、9月の関係から為替と株の動きを読み取ると、
為替が0.1円円安になると、日経平均は、60.3円程株高になります。
これも、やはり比例定数です。
3.5円円安になるなら、その35倍株高になります。
60.3 x 35 = 2100円です。
今より2100円高くなるので、26000円くらいになります。
9月の米金利、為替、日本株の関係が、今後も保たれるとすると、この水準まで日経平均は上がります。
しかし、9月の関係が今後も続くとは限りませんね。
 さっそく、10月に入ってから米金利が上昇すると、今までと反対に米株安になってきました。
 米金利は、今までも、この先も上昇してゆくのですが、9月までは、金利の上昇には株高の関係があり、10月に入ってからは金利の上昇は株安をもたらしはじめたかもしれません。
では、なぜ、その流れになったのかを理解しておく必要があります。今回説明したような比例関係が使えなくなるからです。
 色々な理由、たとえば、11月に米国の中間選挙、欧州のブレクジット、などがかかわっているでしょう。その行方もだんだん明確になってくる時期です。その展開次第では9月までの関係が崩れてくるでしょう。
まぁしかし、こうした問題含みではありますが、9月の関係がまだ存在しているばあい、
これから年末にかけて、2000円くらいの上昇があってもおかしくはない、ということになります。
話半分でも1000円ですから、良い話ですね。
 今回ご紹介した方法は、金利感応度分析といわれる方法の入門ですが、金利が相場を決めるという考え方は、ファイナンス学の基本中の基本なので、知っておくと良いと思います。

では、また次回.