勝負するなというシグナルを計算せよ (魔術師 奥村)

前回は、ケリーという数学者が編み出したトレードサイズの計算式(ケリー基準)を紹介しました。

f= 2*P -1
ただし、Pは勝率、0<= P <=1

まず、数式は、読むことです。

2*P-1 の意味を考えてみましょうお。

もし、pが0.5以下であれば、2倍しても1以下になります。その値から1を引くのですから、P=0.5のとき、 f=0 です。

Pが50%未満であれば、fは負の値になる事に気が付きます。

これは、勝率が50%未満のときは、トレードサイズはマイナスになる事を意味し、勝負するに値しない、つまりは投資すべきではない、ということになります。

株式投資や先物投資においては、オプション商品というものがあって、既にマーケットがつけている買い、もしくは売りの価格と量がわかっているので、ある戦略X(たとえばa円でB株を今買う、という戦略)が成功する確率は計算できます。

計算できないとしても、自信がないときの自己判断の勝率は、おそらく50%を割っているでしょう。

そういった時は勝負すべきではありません。

従って、
ある投資戦略Xの成功確率が50%超であれば、はじめてケリー基準を用いて、トレードサイズを算出する価値がある、ということになります。

現実的には、成功、失敗は時間軸で評価すべきであり、投資期間にも依存する複雑な話となりますが、まずは、いちかばちか(あるいは、やっても負ける)勝負はすべきではない、ということは数式からも導けるという事です。

これは、ケリー基準が示す最も重要なアウトプットだと思います。

ケリー基準は、もっと様々な応用ができますが、今回は、あまり多くを語るともっとも重要な点が埋もれてしまうので、この辺にしておきましょう。

寒さに負けずに、おからだもご自愛くださいませ。

では、また次回。