アノマリーという言葉があります。
相場の中では、(うまく理論はみつからものの)、確かに存在する特異な経験的規則の事です。
具体的に何かを例えるとピンとくるでしょう。
月曜日効果というアノマリーがあります。
月曜日は、週末二日分のいろいろなイベントがありますね。
相場としては、そうした影響が一気に月曜日に来るため、上がりやすい(あるいは下がりやすい)ということです。
これは簡単に検証できます。
月曜日は上がっているか(あるいは下がっているか)、
その確からしさをどうかを調べるだけです。
前日の引け値で買い、当日(この場合月曜日)の引けで売る。
その勝率がわかればよいのです。
前日といっても、前営業日をみないといけないので、月曜日は少しやっかいです。
前営業日は金曜日とは限りません。
1980年代まで、土曜日もやっていました。
月曜日当日が祝日になることも多く、その場合月曜は成立しませんから、
他の曜日よりサンプルは少ないはずです。
四の五のいうより、手を動かして調べてみました。
手元に、日経平均のデータベースがありますので、戦後取引が行われて日の全ての営業日で、曜日ごとの集計をしてみました。1980年代までの土曜日営業もデータとしては存在していますが省いています。
月曜日は、平日5日の中での勝率は丁度真ん中ですね。
案外、月曜日効果は存在しないのです。
しかし、火曜日がビリ、水曜日がトップです。
その差は勝率で6.2%もありました。
つまり、火曜は下げやすく、水曜は上がりやすいということになります。
火曜日がビリなのは、こんな予想ができそうです。
1.月曜日は祝日になりやすいので、月曜日ではなく、火曜日にアノマリーが移動した。
2.月曜日はNY相場の影響を受けないので、大きくあがったり落ちたりしない。
しかし、火曜日は、前日週明けをしたNYの影響を受けやすいので、上がりやすいか下がりやすいか、だろう。そして、統計的には下がりやすい方になっていた。
1,2に対しては、反論もできます。
1′ 祝日が月曜日の週を除いても、火曜日のアノマリーが存在するのであれば、月曜効果そのものが否定される。
2′ 月曜日は、先週末のNY相場の影響を受けるはずだ。むしろ時事ニュースは土日も多く、相場に反映される月曜日がどう考えても大きく動き、結果上がりやすい(あるいは下がりやすい)のではないか。
水曜日は、こうです。
1.火曜日の下げの反動が翌日である水曜に現れた。その反動で水曜日は上がりやすい。
この反論もできますが、きりがないのでやめておきます。
実は、月曜効果は、月曜は安くなる、下がる、というアノマリーが昔からありました。
結局、このアノマリーは、言い伝え、あるいは思いこみ、と言い換えた方が良い、
と思います。
ただし、この統計をみると、誰もがこう思うでしょう。
安くなる火曜日に買い、高くなる水曜日(つまり翌日)に売る。
これが有効であれば、アノマリーを利用して市場に勝てるはずですね。
実際に検証するにはプログラムが必要になりますが、試す価値があります。
いずれ、私もやってみることにします。
きちんと検証すると見えてくる事もある、ものです。