ビックマックで各国の物価をみる (魔術師 奥村)

二か国のFXレートの目安を計る方法がいくつかありますが、最も有名でよく引用される考え方として、購買力平価説というものがあります。

ある一般的な商品、たとえばリンゴ1つがいくらするのかを、二か国で計測します。
日本で100円、米国で1.2ドルだとすると、リンゴの価値は等しいのだから、ドル円レートは1ドル分のリンゴの価格= 100 ÷ 1.2ドル=83.3円とわかるわけです。

英国の経済誌 The Economistは、リンゴではなく、ビックマック1つがいくらであるかを調査し、それをもとに、各国について、ビックマック指数として仮想通貨単位として定期的に発表しています。

これをもとに、先ほどのリンゴのように、各国の為替レートが計算できるはずですね。
日米で試してみます。

日本ではビックマックは、2019年5月現在、390円です。米国では、5.58ドルです。
このとき、1ドルの値は、390円/5.55ドル = 70円となります。

2019年3月時点での、ビックマックの価格がエコノミスト誌(英国の経済誌、日本のエコノミスト誌は毎日新聞社が出していますが無関係です)に掲載されているので、これをもとに、ビックマックを基本にした通貨レートを計算してみました。

ビックマック指数(3月時点)が大きな国は、ビックマックの値段が高いことを示します。

日本の指数を390に合わせておいたので、その国のビックマック指数は、日本で換算で現地で購入するビックマックの価格と一致します。

 

表の一番右には、5月11日の時点でのビックマック価格(円換算)を示しておいたので、3月の価格であるミックマック指数と比較することで、2か月で為替が円に対して、どちらの方向に動いたのかがわかるようにしています。

例えば、54位トルコは、3月時点でビックマック指数は217でした。5月時点では197になっていますから、ビックマック指数で20円程、円高トルコリラ安になったことがわかります。

実際、この2か月どころか、数年来、トルコリラは外貨に対してどんどん切り下がっており、トルコリラの価格は暴落を続けています。この数年間のトルコリラ円のチャートをみてみましょう。暴落の理由は、今回のテーマとはそれるのでスキップします。

 

 

 

 

 

 

さて、ビックマック指数だけでも、いろいろな事が発見できるものです。

エコノミスト誌では、その国の時給で、何分働いたらビックマック1個買うことができるか、という時給を使ったデータなども発表して興味深いものです。香港が1位で、つまりは、人件費に対して最も短い仕事時間でビックマックを買うことができるそうです。

それによると、香港は11.8分でビックマックが買える(1位)。東京も健闘していて、12.2分でビックマックが買える(3位) ようです。

こうした考え方は、実勢レートと単純に比較できないとか、まったく正確ではないとか、各国、工夫されたメニューがあって画一的に比較できないとか、いろいろと欠点を指摘されているのですが、案外、その国の物価を判断するのに悪くはない感じのデータになっています。

この購買力平価説は、長い目で見て、購買力平価、つまり、二つの国で、同じものが同じ価格になるようなレートで均衡する、というものです。

今の実勢レートが、購買力平価より大きくかい離した場合は、購買力に近づく方向にFXレートは修正される事がおおくなります。

ドル円の実勢レートは、4月中旬まで112円でしたが、GW前から円高方向に下げて、110円円を割りました。

今後どうなるかは未知数ですが、購買力平価説に従うなら、長期的には、より円高に向かう事になるでしょう。