究極のサービスというものがあるとすると、コスト0円でのサービスにとどめを刺すでしょう。
インターネットではすっかり普及した、ダウンロードアプリは、むしろ0円がふつうになっています。
ネット上では、究極でもなんでもなく、普通の事、というわけです。
圧倒的な顧客数を得る事で、広告をはじめ、いろいろなビジネスを絡ませて、利益を得るのがコスト0円の商品の本質です。
あまり原価がかからないサービスでは、こうしたビジネスモデルが成立します。
しかし、原価が必ず発生するサービスであれば、コスト0円での提供はまず考えられません。
たとえば、こんな感じになるでしょう。
牛丼 0円
お弁当 0円
牛乳 0円
ビール 0円
タクシー 0円
ちょっと、あり得そうにないかな、とは思います。
しかし、金融界では、このような時代が幕を開けました。
米国のディスカウントブローカー(日本で言うオンライン証券に相当します)の代表格である
チャールズシュワブは、株式売買、ETF売買、の手数料を実にゼロにすると発表したのです(10月1日)。
ライバルのEトレードファイナンシャルも追従しました。
これを受けて、どちらも株価は急落しました。ここでは、チャールズシュワブの株価を掲載します。
(米国では、日本で言う4桁コードの代わりに、ティッカーと呼ばれる固有のコードが割り振られます。シュワブは、SCHW です)。
それでなくても、手数料合戦で消耗していたところに、これです。相当の衝撃があったことがわかると思います。
日本でオンライン証券が出没し始めた1990年代後半、当時勤めていた証券会社もオンライン専業のディスカウントブローカーを設立する事になり、私もその設立プロジェクトに参加した事があります。
当時、先駆者だったチャールズシュワブを研究しました。
あれから20年、日本でも今やオンライン証券はすっかり普及しました。
あっというまに一気に広がったというよりは、ジワジワを社会に根付いた感じです。
インターネットで完結するビジネスとして、丁度、楽天やアマゾンの大成長の時期と一致する時期です.
そして今、個人に関しては、ネット証券はすっかり普及し、むしろ対面販売が珍しいスタイルになっています。
ネット証券は、費用があまり発生しないので、手数料ゼロでもやってゆけるのでしょう。
手数料ゼロ円の流れは、日本にも伝搬するのではないでしょうか。
もしかすると、来年にも手数料ゼロ証券が現れるかもしれません。
ITで普通になったゼロ円のビジネスモデルが金融界にやってきた、驚くべき年になった事を覚えておきましょう。