【2018年3月26日(月)PKO的な上昇でも、上昇は上昇】(スズカズ)

【2018年3月26日(月):予算案通過までの「時間を買う」のが昨今の相場】

日経平均:20,760.10(+148.24)

鈴木一之です。週明けの本日は、日経平均が上昇しました。とても上昇するとは思えないような下落して当然、という日に上昇するのは、多分に「神の手」が入ったと見てしまいます。

神の手。以前の言い方をすれば、公的資金による買い支え、いわゆるPKO的な買い物が入ったという意味ですが、先週は丸1週間にわたってその手の買い物が多かったと感じられました。

なぜそんなことを断定的に言ったり書いたりするのか、と問われれば、今日は下げそうだという日は朝からだいたいわかるもので、そんな日に下落しそうな銘柄は案外決まっているものです。

そのような日に本来なら下げてしかるべき銘柄が、実際にそれほど下げないとなると、それは「神の手」が働いたと考えるのが自然です。そうでない時もありますが、先週はそのような日がほとんどだったように思います。

内閣支持率が急落して、憲法改正が相当にむずかしくなってきて、自民党総裁選の行方もにわかに危なくなってくるこのような状況では、株価の大幅な下落はなんとしても避けたいところです。

週明けの本日もそのような日で、トランプ大統領の発した輸入関税措置に直撃される銘柄はもちろんのこと、年度末が接近する状況で予算案が参院を通過するかどうかという瀬戸際での証人喚問の前に、経済環境の激変は具合の悪いことはなはだしいと言わざるを得ません。

よいか悪いかはこの際まったく別の問題で、ひとまず事態を納めるところに納めることが先決です。その上である程度の時間を確保した上で、あらめて問題の所在をじっくり考えるというのが日本型の政治・経済の進め方です。

時間を稼ぐ意味での株価の買い支えだったはずですが、それが「ひょうたんから駒」といべきか、「棚からぼたもち」というのでしょうか、当のNY株式市場がこの時間は取引が始まっていますが、週明けから大幅高となっています。

米国は週明け早々にも中国に対して1300品目にも及ぶ輸入関税の制裁品目を公表する予定でしたが、そのリストが明らかになって、株式市場には買いが広がっている模様です。

米中による「貿易戦争」の勃発と恐れられていましたが、米国も中国も本気で「戦争」状態にまで持ち込むつもりはまったくない、というのが中国サイドの主だった識者の見方でした。おそらく現時点において、本気で両国が経済面で戦えば、勝利を収めるのは中国の側です。

中国は米国なしでもなんとかやっていけますが、米国は中国なしではやっていけません。両国の関係がギクシャクせずにうまく回ってゆくことはもはや永遠にないのでしょうが、日本がかつて経験したような一方的な譲歩を選択することは、中国に関してはあり得るはずもなく、今後はこのような際どい事態が何度も訪れることになりそうです。

いずれにしろNY市場の株価は今のところ堅調です。懸念していた2018年版「ブラックマンデー」は回避できそうな展開です。

これで明日以降の日本の株式市場を全面的に楽観することはできないものの、ひとまず年度末を無難に迎えることはできそうな雲行きです。日経平均の2万円割れは今回は回避されそうです。

仮に大台を割り込んだとしても、それはごく短時間のことに過ぎず、リバウンドに向かうきっかけとなりそうです。

結局のところ、下がる銘柄と下がらない銘柄の格差が際立っただけで、ビジョン(9416)やインベスターズクラウド(1435)のように、本当に押し目を買いたい銘柄は今回はほとんど押し目はなかったと結論づけるのはまだ時期尚早でしょうか。

以上