エマージング市場に与えるドル高の影響 (魔術師 奥村)

4月中旬からGW明けまで、エーゲ海諸島に出張していました。国としてはトルコ、もしくはギリシア(エーゲ海に2500ある島の大半はギリシアが領有しています)になるのですが、トルコの滞在は初めてだったので、驚いたことがあります。

イスラム教国ですから共通のお約束、お酒は出ないレストランがあるとか、豚は食べないのでハムやソーセージは期待できない、とか、そういったことは当然の事として受け入れる程度の知識は持ち合わせてはいたんですが、、、、

なんと、日本語を話す人が結構いるのです。

イタリアに行くと、今でも’ナカタ、ナカムーラ’などと昔活躍した日本人サッカー選手の名前を言って日本人を誘う’単語’を話す客引きがいますが、そんなレベルではないんです。

(個人的には、’ナガトーモ’、などと言われて客引きされることを期待したのですが、皆無でもありました)

きちんと日本語を、しゃべるんです。それも上手に。

地方都市に行っても、いるのです。これには驚きました。

あまりに上手なので、聞いてみると、青山で仕事をしていた、とか、代官山に住んでいた、とか、3か月ほど勉強しに大阪に滞在していたとか。

なんでも、トルコ語は、日本語に似ていて覚えやすいらしいのです。

皆、例外なく親日家でした。こんな遠い国で日本に親しみを持った人たちがいる。

大いにうれしくなりました。

この国は、アジア大陸とヨーロッパ大陸の両方を領有しています。丁度アジアとヨーロッパの境目が、イスタンブールの真ん中、ボスポラス海峡で仕切られています。海峡といっても、対岸は近いので、見た目は川のイメージです。

ニューヨークのハドソン川のような感じ、もしくは、東京の隅田川のような感じ、でしょうか。

さて、トルコは、投資の世界では、エマージング市場の範疇に入ります。

成熟していない、成長の初期にいる国や地域の総称ですが、いわゆる新興国で、トルコ以外だと、メキシコ、ブラジル、アルゼンチンなどの中南米、インド、東欧、中国、ロシアなどです。

今年に入り、そうした国々の中でも資源輸入国が今ピンチです。

世界通貨の中心はドルですが、そのドルは、金利が上昇したため、ドル高になっています。つまり、自国通貨安、です。

トルコリラの下落は1年で17%に達し、過去最安値を更新中です。

アルゼンチンに至っては、自国の金利を引き上げて通貨防衛に必死ですが、今年になって4か月で15%ペソが下落しました。政策金利を実に年率40%に引き上げても、です。4%ではありません。年率40%です。
(ちなみに日本の政策金利はマイナスです).

通貨が下落すると、日本で例えるとドルに対し円安ということになりますが、輸入物価が上がります。インドなど原油を純輸入する国は、経常収支が悪化するので財政が苦しくなり、それが原因でさらに通貨安になる悪循環に陥るでしょう。

ちなみにトルコは産油国ですが、財政赤字が大きく、大統領が選挙の日程を自分に都合よく変更し強権を維持する見通しになっていることなどはマイナス材料で、国際資金が逃げている状況です。

エマージング市場に投資しようと考える時には、こうした流れを読むことが大事でしょう。

では、また次回。